稲見 昌彦

ロボット工学と拡張現実の研究者

稲見昌彦が何かを熟考しようと決めたとき、彼の姿は透けて見えなくなってしまいます。慶應義塾大学メディアデザイン研究科の教授その人が、光学迷彩システムの発明者だからです。このシステムは2003年のタイム誌の 「Coolest Invention of the Year」に選ばれています。さらにその後のエコカープロジェクトでは、自動車の運転席の周りを透明にして、360度どちらを向いても外が見える車を実現するために、この同じ技術で不透明な物体の向こうが見えるようにしました。稲見と彼のスタッフたちはロボットと遠隔操作による利便性も追求しています。開発された拡張現実(AR)インターフェースシステムの 『CRISTAL』 は、部屋の照明や、掃除ロボットのルンバ、ホームシアターシステムなどの機器を、コーヒーテーブルの上でタッチアンドドラッグという動作で制御します。CRISTAL は、JST ERATO(科学技術振興機構・戦略的創造科学研究推進事業) の五十嵐デザインプロジェクトの一部です。『Cooky』 も同様に、副料理長役を努めてくれるロボットによる調理支援システムです。こんな稲見が、2011年に義塾賞や文部科学大臣表彰、若手科学者賞を得たと聞いても誰も驚かないことでしょう。

How Digital Transparency Can Expand Your Experience

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