牛場 潤一

ブレイン・マシン・インターフェースとロボット工学の研究者

体が麻痺したり植物状態に陥って、起き上がることも、声を出すこともできない状況を想像してみてください。もし、そのようなことになっても、慶應義塾大学の研究者である牛場潤一が研究している技術があなたの脳に働きかけて、筋肉や声を取り戻す手助けをしてくれるかもしれません。牛場は「ブレイン・マシン・インターフェイス(BCI)」と呼ばれるものにとてつもない力を注いでいます。患者の脳に機械をつなげてロボットやセカンドライフのアバターのようなバーチャルリアリティーを使って外界とやりとりすることで、体の自己修復や運動機能を取り戻させるという構想です。チャットやバーチャルリアリティーでのショッピングは、重度の麻痺でリハビリを受ける気力すら失っている患者を元気づけることができるだろう、と牛場は語ります。彼の構想を元に研究から創り出され、商業化を目指している機器は、まさにSF小説に登場するものだと言えます。2010年の BCI 研究賞の上位10人に選出された彼の学術的な研究は、工学、先端技術、神経科学と医学とにまたがり、世界各地での活発な研究を促してきました。今年の11月には2012年のBCI研究賞の審査員を務めることになっています。

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