TEDxTokyo yz 3.0

TEDxTokyo yz 3.0

TEDxTokyo yz はTEDxTokyoのメンバーが立ち上げました。2010年6月19日に第一回目カンファレンスが開催されました。イベントでは主に首都圏に住む起業家や革新的なアイデアを持った若者が社会にポジティブなインパクトを与え、持続可能な未来をつくり上げていく場として始まりました。TEDのスピリットである「広める価値のあるアイデア」を体現しているだけでなく、チームは多くの若者のモチベーションを高め、彼らの人生の中で違いをもたらすためのサポートの役割も担っています。
TEDxTokyo yz チームに関しては こちら.

Ideas

TEDxTokyo yz ver.3.0 ~de-mosaic-ing~

Event Report

2月2日のTEDxTokyo yz ver.3.0 -de-mosaic-ing- に参加してくださった皆さま、本当に本当にありがとうございました。スピーカー、サポーター、チーム全員の貢献により、滞りなく終えることが出来ました。また、東京、京都、東北、九州、台北から駆けつけて運営支援をしくれたTEDxコミュニティの仲間にも大きな感謝を送ります!

Session12-1

今回は、合計で82人の招待参加者と11人のサポーター、10人のスピーカーが会場に集まりました。イベントはまず、藤間蘭翔さんの魅力的な舞で観客をうっとりさせて幕を開けました。続いて栗原一貴さんが、一風変わった視点でのコミュニケーション論と、そんな斬新な視点をそのまま活かした発明品の数々について語ってくれました。

栗原さんは、2012年のイグノーベル賞(風変わりでユーモラスな科学的発見にフォーカスしたImprobable Research Magazine協賛の賞)の受賞者でもあります。堂嶋賢征さんは、勘違いや誤解が生み出す思わぬビッグアイディアの可能性を教えてくれました。セッション1の最後を飾ったのは、独自のネクタイブランドの創設者である実業家、大関綾さん。どうやってネクタイという何百年も同じ形だったものを進化させたのか?実業家の彼女の武器である「発想力」についてのアイディアを披露しました。

Session23

セッション2には山崎里恵さんが登壇。大学時代に影響を受けたラボ・アトリエ実習で、自己の軸を見出すことが社会と関わる方法だと学んだ体験談を語ってくれました。続いて、畠山千春さんが登壇し、彼女の大好きな人と、その人達が作った物に囲まれて生きる持続可能な社会生活への冒険について教えてくれました。彼女の開催する屠殺ワークショップの映像は、私たちに人間と自然の関係を再考させる豊かな時間を提供してくれました。本イベント2人目となるアーティスト、OBSNVSRの好奇心を喚起させるパフォーマンス(LEDライトを光輝かせながら電子音を奏でるパフォーマンス)によって、会場のアドレナリンが一気に上がりました。

Session32休憩を挟んだ後、冨田伊織さんが登壇し、光の中に浮かび上がった幻想的な透明標本を前に参加者は息を飲みました。丁寧に保存された鮮やかな色合いの多種多様な海や水辺の生き物の骨格たちは標本という形を越え、アートへと変身を遂げていました。残り2人のスピーカーは、人との出会いによって人生の舵取りを大きく変え、自らのミッションを見出したストーリーを話しました。橋本夏海さんの監督作品 ”Know, and change”は、彼女を変えてくれた人物、田中一成氏の生きる世界を描くことによって、自分以外の人々にも彼からエネルギーをもらい、変化し、アクションを起こして欲しいという、橋本さんの夢が詰まった作品でした。最後に遠藤謙さんは、障害という概念を超越できるような、喪失が可能性となるような、革新的な義足を開発するパッションを語ってくれました。テクノロジ—は単に技術の進化だけでなく、社会通念への挑戦や人間性の向上にも繋がっていくことを示してくれる彼の姿勢に会場中が感銘を受けました。

TEDxTokyo yz ver.3.0は大成功に幕を閉じました。これまで5回と回を重ねてきた過程には、代表創始者である井口奈保の想いがあり、彼女の推進力がなければこのような結果にはならなかったかもしれません。TEDxTokyo yz ver.3.0は、彼女にとって最後の特別なものでした。イベントの終りには彼女をステージに招いてこれまで素晴らしいコミュニティを作った功績を改めて祝いました。

TEDxTokyo yzがどのようにして起こったのか、奈保に聞いてみました。
「私はとてもシンプルな好奇心でTEDxTokyo yzを始めました。今の時代性に合った組織を実験し、現実に基づいた組織理論を新たに構築することです。実験の結果、TEDxTokyo yzがチームメンバーに愛されてるんだと肌で感じることができ、本当に嬉しく思います。チームメンバーにとって憩いの場となっているのではないでしょうか。私たちは正直な感情、時には苦い思いも共にしてきました。毎晩顔をつきあわせてアイデアを交換すること、お互いの創造性に挑戦するのに飽きることがない相手です。からかい合い、戯れ合い、言い合い、人生の岐路で支え合い、様々な局面を乗り越えてきました。

私が代表としての立場を離れる決意をし、みんなに話したとき、チームメンバーは自ずから進んで、TEDxTokyo yzをどう維持・成長させていくべきか考え始めてくれました。チームメンバー1人1人ががTEDxTokyo yzを大切に想ってくれていること、何より「TEDxTokyo yzに属している一員なんだ」とコミュニティへの帰属意識を持ち、組織を成り立たせる仲間として責任を果たすリーダーシップを育んでくれた紛れもない証拠です。こういった気概はチームの周りの人たちに伝染し、コミュニティをますます生き生きさせてくれるでしょう。

奈保はまた、コミュニティデザインについていくつかのエッセンスを話してくれました。

コミュニティをゼロから立ち上げるにはまず、基盤となるコアチームを作ることです。団結力があり頼れるチームは、愛と信頼を築くことで生まれます。創設者やリーダーはチームメンバーが伸び伸びと落ち着いてチームに定着できるように、心理的安心感(psychological safety)をまず作らなければなりません。

もう一つの重要なのは、来るもの拒まず・去る者追わずというスタンスを怖がらずに保てる精神力。チームメンバーはそれぞれ生活を持っていて、さらには、仕事・家族・趣味趣向・価値観などまったく違います。ずっとチームに留まる人もいれば、すぐチームを去る人もいます。参加したあと一旦は離れ、時間を置いて再び戻ってくる人がいます。中核を担っていたメンバーが役割を退いた後も、継続的にサポートしてくれル場合もあります。このような多様性、変化の波を受け入れ、順応し、組織体を柔らかく弾力あるものにすることが、コミュニティ形成に不可欠です。コミュニティは私たち生き物の細胞のように一瞬一瞬変貌を遂げる有機体だと考えています。

TEDxTokyo yzのような既存の枠にはまらない組織形態、ワーキングプロセスを持つ団体が、社会にポジティブな影響を与えたいと情熱を持った人々を自然にその気にさせ、ドライブをかけ続けられる事は、驚くべき現象だと思います。ここにいると、私たちの行動によって起こる周りの環境の変化、人の成長と進化、そして私たち自身の変容にいつも気付かされます。

Thanks,
TEDxTokyo yz team