TEDxTokyo Change: Big Picture

_MG_1897_ikeosyunsuke 現在の危機的な経済状況において、どの国も、まず自国のことを最優先するようになってきています。しかし、今こそ私たちは相互に依拠し合うグローバルコミュニティの一員なのだという事実をしっかりと見つめることが必要です。なぜなら、このコミュニティの多くの人びとが、未だ食糧、水、医療など、命を守る最低限のものさえ手に入れることができないでいるからです。

これまで通りのやり方でジビネスを進めていくことは、もうできません。

2012年4月5日、TEDxChange では、その歩みをいったん止めて、俯瞰的視野から大きな一枚の絵を見てみようと思います。

「1つの社会として、私たちはなぜ、グローバルヘルスと国際開発に投資をし続けるべきなのでしょうか?どのようにして幾多の境界線や政治的な壁を越えて、ポジティブな変化を生み出すことができるでしょうか?そして、この投資によって、どんなリターンが得られるのでしょうか?」

TEDとビル&メリンダゲイツ財団がパートナーシップを組んで進めているグローバルイニシアチブ、TEDxChange のサテライトイベント、TEDxTokyo Change を開催することが決まったとき、文字通りの壮大なテーマに、正直チームは戸惑いました。しかし、2ヶ月という短い準備期間をものともせず、参加者、スピーカー、運営チームは、TEDxTokyo Changeを通して、一枚のBIG PICTUREを共に描くことができました。

TEDxTokyo には、若手が中心のチームがあり、「Y世代」と「Z世代」から由来を得て、”TEDxTokyo yz” と呼ばれています。今回はこの10〜30代を中心とするメンバーがTEDxTokyo Changeを運営しました。

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ビル&メリンダゲイツ財団が焦点を当てているグローバルヘルス・国際開発の分野は、yz世代にとってけっして身近なものではありません。 日本政府がODA(政府開発援助)で世界的にも実績を上げている事実を学んだり、 発展途上国における日本のNGOがいかに精力的かということを耳にしているものの、yz世代のほとんどは、国グローバルヘルス・国際開発におけるボランティア活動やチャリティー活動に参加しているわけではなく、自らが投資しているわけではありません。この分野への関心の薄さは否めないのが現状です。

TEDxTokyo Changeでは、参加者の多くがこのような問題に対して人ごとだと受け取らないよう、ゲイツ財団の提示する大きな問いをもう1度見つめ直し、独自の解釈を加え、日本のyz世代に「自分にも関係のあること」と捉えてもらう必要があると考えました。なによりもまず、私たちTEDxTokyo yzチーム自身が学ぶところから始めなければなりませんでした。

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そこで、定期的に行っている通常のミーティングに加え、グローバルヘルス・国際開発に対する理解を広げる勉強会を月に2回実施しました。この勉強会では、メンバー1人1人が自由にトピックを選択し、リサーチし、そこから得たデータ、情報、気付き、学びをシェアします。さらに、専門的な内容や現場のケーススタディを知るために、毎回、専門家をゲストスピーカーとして招待しました。この勉強会がTEDxTokyo Changeのコンセプトを作る上でも一役買っており、議論を何回も重ねて今回のテーマは決められました。

「グローバルヘルス、国際開発において、 日本に住む、若い私たち一人一人は、いかにして能動的なキープレイヤーになれるだろうか。」

また注目すべき点として、私たちはイベントを40人程度の参加者数に限定し、小規模で濃密な時間を作ることに専心しました。上記のような問いに対して真剣に取り組んで頂ける方々が必要でした。グローバルヘルス・国際開発の専門家と、専門家ではないけれど、身近な課題として捉えてすぐに行動に移せたり、イベントで得た刺激を周囲に広めることができる影響力を持った若手のリーダー層を招待しました。イベント会場に集まる人たちが丁寧に考え抜かれたやり取りを持つことが、TEDxTokyo Changeを成功させるのに不可欠だとチーム全員が感じていました。

そのためメインイベント後、参加者、スピーカー、チームメンバー全員でディスカッションする時間を持ちました。ベルリンで開催されたTEDxChangeのプレゼンテーションと、TEDxTokyo Changeが選んだ東京独自の4人のスピーカーが語ってくださった多種多様なテーマを軸に、以下のような問いを投げかけました。

「今、あなたのすぐ隣にいる同じテーブルを囲む人たちと一緒に、明日からできることはなんですか?」

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12の小グループに分かれてブレインストーミングをして出てきたアクションアイディアを、各グループごとに丸い紙に書き込んでもらい、こうして集まった12個の丸い紙を、まるでパズルを埋めていくかのように、大きな一枚のシートに貼り付けることで、アイディアの種に満ちた “BIG PICTURE” を完成させました。

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